「かたいものを食べていて歯が欠けてしまった。」
「遊んでいるときに歯が折れてしまった。」

折れてしまった歯はそのままでいいの?いいえ、歯が欠けたり折れたりした場合は早めの処置が必要です。
歯の表面はエナメル質という、体の中で最も硬い物質で覆われています。そして、その下層に象牙質があり、中心部には神経や血液が通る歯髄があります。


歯が折れて歯髄が露出してしまうと出血や痛みを伴います。そして歯髄に感染が起こると歯の根っこ付近に病巣が広がります(根尖周囲病巣)。
この状態は痛みを伴い、食欲不振やよだれの増加が起こることがあります。

歯か欠けた、折れた場合には、まず「折れた歯を残す(歯内療法)」のか「抜歯する」のかを判断します。鎮静下での口腔内X線検査を行い、時間の経過や病巣の程度、折れ方などをみて判断します。
折れた歯を残す(歯内療法)場合は、歯髄を残すか(断髄法)、歯髄を取り去ってしまうか(抜髄法)も考慮していきます。
いずれの方法にも利点と欠点があり、動物の生活スタイルや破折の程度に応じて、ご相談しながら治療方法を決定していきます。





犬や猫の歯周病

犬や猫は人間に比べて歯周病が多く、2歳以上の犬や猫の80%以上に歯周病があるといわれています。[1]
歯垢(しこう・プラーク)が付着したまま放置すると歯肉炎が発生し、さらに放置すると歯周炎へと悪化していきます。そしてなによりも恐ろしいのは歯垢や歯石には無数の細菌が含まれていて、歯周ポケットのより深いところへ広がっていくということです。
炎症が深くまで広がると、歯がぐらぐらしたり、出血したり、時には菌血症を起こして全身の臓器に障害を引き起こすこともあります。

最近口臭が気になる。歯が白くない。ご飯が食べにくそう。
といった場合は歯周病のサインかもしれません。

歯石の付着が多い場合には、麻酔をかけて歯石の除去を行います。

@まず超音波を使ったスケーリングという処置で、目に見える歯石を除去します。
A次にルートプレーニングという処置を行います。これは歯周ポケット内の見えていなかった部分の歯石やよごれを除去して、歯面を滑沢化(ツルツルにする)処置です。歯周病治療の最も大切な部分です。
Bぐらぐらしていたり、保存ができそうにない歯を抜歯します。この際、口腔内レントゲン検査を行い、歯周病の程度や顎骨骨折の危険性がないかを調べます。
Cきれいになった歯の表面を研磨し、さらにツルツルに仕上げます。これにより新たな歯石が付着しにくくなります。
D最後に歯周病治療のお薬をつめます。

さて、これで一旦はきれいになった口の中ですが、日常のケアを怠ってしまうと、また歯石だらけの歯に戻ってしまいます。
つまり一番大切なのは家で行う歯磨きの習慣ということになります。
家での歯磨きの方法やその他の日常ケア、病院で歯磨きをしてほしい、などのご要望がございましたら遠慮なく質問してみてください。





猫の歯肉口内炎

おうちの猫が口の中が痛そう。食事の時に口の中を気にする。口臭がひどい。といったことはありませんか?時にはお口のまわりを触ろうとすると、ギャーッと悲鳴を上げて痛がったり、ヨダレが止まらなくなることもあります。

猫の歯肉口内炎は歯肉や口腔内の粘膜が赤く腫れあがってしまう病気で、強い痛みを伴います。食欲がなくなり、毛づくろいができなくなるために被毛がごわごわになってしまうこともあります。
治療には、注射やお薬を用いる内科療法と、口腔内の清掃、全臼歯抜歯、全顎抜歯などの外科的治療があります。
内科療法は負担を少なく、症状を改善できる利点がありますが、根本的な解決にはならず、再発を繰り返してしまう場合が多くみられます。

症状が重く、再発を繰り返す場合には外科的治療を行います。臼歯をすべて抜歯する全臼歯抜歯や、すべての歯を抜歯する全顎抜歯を行うことで、60〜70%以上の改善が期待できます。
歯をすべて抜いてしまってもご飯は食べられるの?という心配があるかもしれませんが、キャットフードなどの飲み込みやすいご飯を食べている現代の猫では、術後もほぼ問題なく採食が可能です。






ウサギの不正咬合(エキゾチックアニマルの歯科)

ウサギなどの一部のエキゾチックアニマルの中には、歯が生涯伸び続ける動物がいます。
牧草などをしっかり食べる事で、歯は自然に削られて行きますが、時として削られ方の異常や噛み合わせの異常が起こることがあります(不正咬合)。
ウサギの歯のトラブルは食欲不振や体調不良に直結します。

歯の異常が疑われた場合、まずは診察でわかる範囲の歯の異常をチェック致します。前歯(切歯)の異常の場合は麻酔をかけずに歯を切る処置を行います。
奥歯(臼歯)の異常が疑われた場合は、麻酔をかけて臼歯の詳しい診察と同時に、カットが必要な場合はマイクロエンジンを用いて臼歯を切削します。

ウサギ以外にも、デグーやハムスターなどでまれに不正咬合が起こることがあります。
また、小さな動物が体調不良になった場合、長期間様子を見るといった余裕がない場合がほとんどです。なるべく早めに診察に来られますことをお勧めします。



歯のトラブルはいろいろ。治療方法も様々です。

動物の口の中は、普段見えにくい場所であるために、わかりにくい事があります。
そのため、診断には鎮静(注射で眠くする)や麻酔(吸入や注射で眠らせる)を行う場合があります。
治療方法も様々で、状況やその子にあった治療をご相談していければと思います。
高齢なので体に負担をかけたくない。悪い歯だけを治療してほしい。心配なのですべての歯を検査してほしい。などのご要望がありましたら、診察の際にお申し付けください。

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院長 和田慎太郎